IBM Watson

Watsonの活用法で代表的な“質問応答システム”とは、ユーザーの質問に対し、その解答を提示するシステムのこと。より自然文など人間本来のコミュニケーションに近い方法でやり取りできるという点で、従来のコンピューターと根本的に異なる。身近にあるAppleのSiriや、MicrosoftのCortana、GoogleのGoggle Nowなども質問応答システムの一つ。ただWatsonは冒頭で触れたように、クイズ番組で人間の知性に挑戦した実績を持つシステムだ。

Watsonの正解率が高い理由は、単に真偽を推論するだけではないからだ。開発が始まった2006年当時、情報検索技術は急速に進化していたが、武田氏は「検索だけでは3割も解けないだろう」と推定した。人間の知能に近づくためには、状況に応じて細かい判断をする必要がある。武田氏は次のように言っている。さまざまな手がかりから、それが最も可能性が高いと指し示す解答候補の断片的な情報（根拠）を集めることで、正解に対する確信度が上がっていきます。それを実装したのがWatsonです。

人工知能というと、筆者は「リンゴ食べたい」に対して「赤いです」とか言ってくる不自然な“金属の塊”を想像してしまう。映画で出てくる宇宙人のように不自然な言語行為をするものと思いがちだ。しかし、Watsonのような人工知能は、今までのコンピューターともわたしの馬鹿げた想像ともかけ離れた存在になりつつある。武田氏は、Watsonの特長として自然言語の言い回しの多様性をあげる。